● いろはの「い」 ●(第4話)

来店したお客様は横田課長のペースで話が進み、いよいよ物件の案内
と言うことになりました。
そのとき、山本部長から「どや!富ちゃん、横田課長の案内の運転手
するか?」と言われ、横田課長の営業方法に大変興味を持っている私は
「是非、お願いします。」と即返事をし、横田課長の案内の運転手をする
こととなりました。

私は即、駐車場から横田課長の車をだし、お店の前に横付けする。
すると、横田課長とお客様がお店から出てきました。

横田課長はすぐ車の後部のドアを空け「どうぞー!」と元気よく
お客様を促しています。
それから助手席にのった横田課長はシートベルトをして、
「さあ富山君、行こうか。」と紳士面です(気味悪う〜)

そして、横田課長の言う通りに運転していると、1軒目の物件の前に
着きました。
どうやら、チラシに載せていた物件のようです。
早速、お客様と物件の中に入ります。

お客様の反応は悪く「いやぁ〜、この物件は古くて汚いですね〜」、

すると横田課長は「いや、その代わりに価格は魅力的でしょう。」、

客「いやぁ〜しかし、こんなに古かったら・・・嫌ですね・・いくら安くても・・」、

横田「じゃあ、次の物件行きましょうか」。

と言う具合でいざ2軒目へ、2軒目の物件は1軒目の物件より200万円
くらい高く、かといって、さっきの物件とほとんど変わらないくらいの物件で
多少土地が広いかな?と言う物件でした。これではお客様の反応も悪く、
3軒目も同じような感じで、お客様も「ふー」とため息をついていました。
これと言って横田課長も特別な営業をするでもなく、私も不安になり、

(こんなことで、家を売れるんだろうか・・?)と思いました。

客  「いい物件がないですね・・。」   

横田 「いま残っているのはこれだけですね。いい物件はすぐ売れるから、
     変な物件ばかり残っているんですよね」
 
客  「フゥ〜、そうですか、じゃあまたの機会にってことで・・・・・」

横田 「そうですか・・。でも一応会社に電話してみて、いい物件がでて
     いないか確認して見ますね。」

そこで、横田課長は携帯電話から会社に電話をしました。
「あ、もしもし、横田ですけど、何か新しい物件でていないですか?・・・・
え!・・ある?・・・今、寝屋川支店から出たばかりだって?・・・・・ほう・・
ほう・・・それは、いい物件ですやん!・・・場所は?・・・ふん・ふん・・・
解りました!早速行ってきます!」

私は、これは、テンプラやな・・・と思いました。

次回第5話をお楽しみに。

次へ