▲▼▲引物(ひきぶつ)・当物(あてぶつ)の編▲▼▲  第5話

「お客さん!いい物件でたみたいですよ〜!すぐこれから見に行きま
しょう。」と、ちょっと興奮した感じをみせ、その物件へと・・・・・

その物件は今まで見た物件とは違って、外見も内見の綺麗で、
私が見てもいい物件に見えました。

お客様も目の色が変わり、「こ・・この物件はいいですね〜」と顔が
輝いています。
しかし・・・・・
この物件は価格がお客様の希望予算より500万円もオーバーしている。
それに気づいたお客様は、「この物件いくらですか?」と聞く、
「2500万円です。少し予算オーバーですかね。」
と平然と横田課長は答える。
「ご・・500万円も予算オーバーですよ、少しどころではないですよ」と、
当然の答えが返ってくる。

すると「お客さん、500万円と言っても、毎月の支払いは2万円ほどの
アップですよ。」と以下の会話に続く。

横田 : 「ご主人さんは、お酒飲まれます?会社の付き合いなどで毎月
       いくら使っています?」

客 :  「それは〜・・(奥さんをチラッと見て)5万円ほどくらいは使って
      ますかね〜」

横田:  「でしょう!その内2万円分ほど節約してくれないですか?それを
      我慢するとこんなすばらしい物件が手に入るのですよ」
客 :  「ん〜・・でも・・」

横田:  「奥さんはどうですぅ?ご主人さんが2万円節約してくれたら、
       いい家は手に入るわ、ご主人の仕事帰りが早くなるわで
       一石二鳥じゃないですか?」

客(奥さん): 「あなた!2万円位は節約できるでしょっ!」

横田:  「じゃあ、この物件で決めましょう!」

とまぁこんな感じで私は途中不安になりましたが、後半は完全に
横田課長のペースで、このお客さんは予算より500万円も高い物件を
買わされることになりました。
あとで、こっそり私に、横田課長が
「よー覚えときや!
これが不動産のいろはの”い”や!
と言っていました。

よーするに、チラシの物件は図面上でいい物件に見えて
価格の安い ⇒ 
引物(ひきぶつ)  
これで客を引く

2番目に見せるのが、価格もあまり安くなく、
きたない物件 ⇒ 
当物(あてぶつ)
これで、客に現実の厳しさをわざと見せ、気分を一旦さめさせる。

そして最後に見せるのが、
予算をオーバーしたいい物件 ⇒
 決物(きめぶつ)
そして「テンプラ」などで、一芝居をして客をあおる。

とまぁこんな感じです。
私はこんな見え透いたことで、お客さんが家を買うのだな〜と
びっくりしました。

次回第6話をお楽しみに。

次へ